肛門腺から血膿がでる~肛門腺炎~

犬や猫にもスカンクと同じように、臭いのする液状の“肛門腺液”というものがあります。それは一体どのような役割があり、そしてどのような病気を引き起こすのでしょうか?


肛門腺について

肛門の左右両側、時計でいうと4時と8時くらいの場所にある一対の袋のことを肛門腺(肛門嚢)といいます。この袋の中に臭いのする分泌液(肛門腺液)が入っています。

この肛門腺液ですが、たいていは排便のときに肛門を通過する便の圧力によって押し出されます。また、犬が驚いたり興奮した時に飛び出すこともあります。

肛門腺液を出すことは、犬や猫にとってにおい付けのための手段のひとつです。排便時に一緒に出すことで、自分のテリトリーに目印をつける役目があります。また、犬同士が出会うとお尻のあたりを嗅ぎ合うのは、肛門腺のにおいによって個体を識別するためといわれています。


原因

肛門腺液は通常、排便する時や興奮・恐怖など感情的になったときに出るものです。しかし、肛門腺液が詰まって上手く出ずにたまり続けてしまうと、徐々に濃縮していきペースト状に変わっていってしまいます。すると、肛門腺の小さな出口から排出することがさらに難しくなっていきます。

また、太りすぎによって肛門腺が出しづらくなったり、ストレスや下痢・便秘などの体調不良、寒さや高齢による運動不足などが原因でもたまりやすくなります。


肛門腺に関する病気

上記のような状態で、肛門腺液が上手く出ずに肛門腺にどんどん溜まってしまうと、次のような病気が起こってしまいます。


《肛門腺炎》

肛門腺液の排出困難と肛門腺の細菌感染によって引き起こされています。肛門腺液は個体によってそれぞれにおいや色などが異なります。黄色っぽくて血液が混ざっていたり、それが膿状になり悪臭を放つ場合は、異常な状態です。こうなると、自然に肛門腺液を出すことができなくなるため不快感を感じ、床に肛門をこすりつけたり肛門を舐めたり噛んだりして、肛門の周りに皮膚炎を起こすこともあります。

肛門腺炎を起こしてしまった場合は、1~2週間毎に肛門腺液を絞り出すことを繰り返し、肛門腺の中を空にします。その状態で抗生物質の投与や、肛門腺の中を洗浄することで治療します。


《肛門腺膿瘍》

肛門腺炎がさらに進行すると、肛門腺膿瘍になります。肛門腺の細菌感染が広がり発熱が起こり、外見からもわかるくらいに肛門腺が膨らみます。周囲の皮膚は赤く、のちに赤紫色、濃紫色へと変わっていきます。そして、進行するとその部分の皮膚が破れて穴があき、そこから血液を含む肛門腺液が流れ出てしまいます。

治療法は、肛門腺を何度も洗浄し、抗生物質を投与します。再発しやすい場合は肛門腺をまるごと取り除く手術を行うケースもあります。



予防

定期的に肛門腺を絞ってあげて、中の分泌液を出すのが効果的な予防法です。

ただし、排便時に自分で排出している子もいるので、お尻を気にするような素振りがない場合はわざわざ絞る必要はありません。溜まる期間に個体差がありますが、自力で出せず肛門腺液が溜まる犬の場合は大体一ヶ月に一度くらいのペースで絞ってあげましょう。お尻を地面にこすりつけたり、お尻のほうから臭いがするようになった頃が絞る目安の時期です。

また、肛門腺炎を起こしてしまっているときに無理に絞って分泌液を押し出そうとすると痛がることがあるので、無理に絞らないで動物病院で処置をしてもらいましょう。


肛門腺の絞り方

1.しっぽを片方の手で持ち上げて、もう片方の手にティッシュペーパーや湿らせたガーゼなどをあてて、肛門腺のあたりをつまみます。肛門腺は肛門のすぐ下時計の4時と8時の場所辺りに位置するので、そこを指でつまむと肛門腺液が入っている肛門腺を小さな固い塊として触ることができます。

2.その肛門腺を親指と人差し指でつまみ、肛門の中心に向かってゆっくりと圧をかけて下から上に押し上げるようにして中の肛門腺液を出します。溜まっている肛門腺液が液体の場合は簡単に絞り出すことができます。

3.肛門の周りをきれいに拭き取ります。肛門腺を絞る時に肛門腺液がピュッと飛び出すときもあるので、かからないように注意しましょう。また、猫の場合はお尻を触られるのを嫌がって噛みついたり引っかいたりする場合があるので十分に気を付けましょう。


まとめ  

最初は上手に絞れないかもしれませんが、何度もやっているうちだんだんと覚えていきます。一度コツをつかんでしまえばご家庭でも簡単にできるので、頑張ってみましょう!

肛門腺の場合に限らず犬や猫はどこが痛い、どこが痒い、などと言うことができません。肛門腺液が溜まったときにお尻を地面にこすりつけたり舐めたりするのもそれを知らせるサインの一つです。かわいい愛犬・愛猫がサインを出しているのであれば、それに気付いて、応えてあげることが大切です。



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