猫に多い猫下部尿路疾患~尿石症~

猫の膀胱から尿道にかけて結石が生じて、排尿困難・血尿などの症状を出す疾患を猫下部尿路疾患と呼びます。中でも尿石症に悩まされる猫が多く存在しています。

尿石症の知識を得て、予防やお家でできる対策を行ってみましょう。


Phと結石

酸性やアルカリ性の濃度を測る単位を「ph(ペーハー)」といいます。phには0から14まであり、7より値が小さくなるにつれ酸性が強く、7より大きくなるにつれアルカリ性が強くなります。

ストラバイト結晶は、尿がph7以上のアルカリ状態が続くことによって生成されます。そしてph6以下になると溶解します。そのため、ストラバイト結晶による尿路疾患では、尿をいかに酸性にするかが重要となります。


Phと食事

尿のphは食べ物によって大きく変化します。例えば、肉や魚などを食べると尿が酸性側に、野菜などを食べると尿がアルカリ側に傾きます。一般的に植物性タンパクは動物性タンパクに比べ、アルカリ尿を排泄する割合が高くなるといわれています。

実際、肉食動物である猫の尿のphは、5.5 ~7.0で弱酸性、草食動物であるウサギの尿phは7.6~8.8でアルカリ側に傾いています。猫はあまり野菜を好んで食べませんが、尿のphだけを考えれば野菜などのアルカリ食品は避けた方が良いでしょう。

さらに、食事の給餌回数も尿のphに影響します。動物性タンパクでも植物性タンパクでも食後数時間はアルカリ尿になることが多いため、尿の酸性化が必要な猫はいつでも自由に食べさせるのではなく、1日2回と時間を決めて与えるようにします。また、猫の採尿をする場合は、正しく検査数値を出すために食後3~4時間経ってからの尿を採りましょう。


食事で対処する方法

ほとんどの猫はわずかに結晶を含む尿を排泄します。結晶が見える場合、phを増加させないように尿を希釈するためには、水分含有量の多い食事を与えると良いでしょう。水分摂取量が増えると尿中の有害な物質が薄まり、排泄の回数も増えます。これにより、過剰な結晶を除去することに繋がります。

特にオス猫の場合は、結晶によって尿道が閉塞してしまう可能性も高いので、水分を摂取しやすいウエットフードなどの食事に変更しましょう。

ドライフードを与える場合は、水を加えてふやかしたものを与えましょう。しかし、水でふやかした途端に食べなくなる猫もたくさんいます。その場合、セミモイストフードに変更した後に缶フードへ移行させると良いでしょう。

食事を変更すると多くの猫がストレスを感じるので、従来の食事と新しい食事を混ぜながら徐々に切り替えるようにします。


結石に有効なランベリージュース

以前より、人間の尿路感染症に対してメディカルハーブとして使用されるクランベリージュースを用いた民間療法はよく知られています。クランベリーに多く含まれている“キナ酸”が尿を酸性化することから、人間のストルバイト結石の治療において有効だということがこれまでの研究で分かってきています。

例えば、人間の女性にクランベリージュースを1日300ml摂取させたところ、尿路感染率が58%低下したという研究報告もあります。また、クランベリーの成分であるプロアントシアニジン(ブルーベリーに含まれるアントシアニジンなどと同じポリフェノールの一種)に尿路内に細菌が付着するのを防止する抗付着作用があり、尿路感染症の感染率を減少させることも大学の研究で立証されています。

残念ながら、犬や猫においてクランベリージュースの科学的根拠となるデータは見当たりませんが、その効果は期待できそうです。実際、アメリカのペット業界ではその効能に着目し、クランベリーがペットフードの中でポピュラーな成分になっています。アメリカのペットフードメーカーの1/3が、製品の中に既にクランベリーを使用しているとも言われています。

その他、マシュマロウ(穏やかな収れん作用、抗菌作用)やカウチグラス(抗菌作用、収れん作用、抗炎症作用、穏やかな利尿作用)などのハーブもその効果が期待されています。


適度な運動

統計上、去勢したオスは去勢していない猫に比べて猫下部尿路疾患の発生率が高いといわれています。

一方、去勢手術をすると代謝率が低下して肥満となることも分かっています。これは、去勢手術後に男性ホルモンが減少することによりメスを追い掛け回す行動が減少するなど、運動不足が一因となっているのかもしれません。

適度な運動は尿のphを酸性化するだけではなく、去勢手術をして肥満傾向にある猫の下部尿路疾患の対策にも繋がります。


今回は、猫下部尿路疾患について様々な対処法をご紹介しました。人間の医療においても西洋医学や東洋医学、民間療法などいろいろな病気へのアプローチが存在します。動物の医療も最近では、高度医療を求める飼い主さんから自然療法を求める飼い主さんまで、その治療に対するニーズも多様化しているようです。

獣医さんと相談をしながら、ペットにとって最適な治療法を探してみてはいかがでしょうか?